あとがき  P40

 景観研究会会員の熱意と意欲に圧倒され、自分は食べることも、飲むことも忘れて(誰が?)、研修参加者の皆様の後ろからついて回ることが精一杯であった。この紀行が旅の序曲から終演まで、研修への奮闘・奮戦記とする意味で、個人の独断と偏見で勝手な言い分(御託)を述べさせていただくことにする。
 また、多くの研究会会員の参加をいただき、研修旅行が無事終了したことに対して、堀先生はじめ研究会の会員の皆様に感謝と御礼を述べさせていただきたい。

1 出発前の戦いと勝者
 周辺環境の整理・整頓は、今回の研修に行けるか行けないかを左右する大事なポイントであった。今回の旅行は、景観研究会の研修であって、決して観光・遊び等のうわついた旅行ではない。事前に、山形駅前ではスペインの食文化(パエリア、ワイン)の事前調査を行い、大きな成果をおさめている。
 私設の旅行代理店主任には、警察の取り調べのように『誰が飛行機に乗れるか』速めに白状しろと毎日矢のような催促である。身の潔白を証明するために、身の回りの整理・整頓に心がけ、『スペインに絶対いくぞ』の決意を新たにする。
 第一陣が出発する一週間前に最大の山場を迎えた。落選者は誰。責任ある人の素晴らしい英断と優しい配慮に感謝して当選者に滑り込んだ。勝者は、山形から成田のホテルまで日本の楽しさを満喫、車内・東京でそれぞれの趣向が盛りだくさんの事前打ち合わせを行った。東京駅では、スペインの『バル』を思わせる楽しい広場の現地調査・実地体験を味わい、日本の良さを実感できる内容の充実したものであった。
 さあ、ルフトハンザの飛行機に乗ったぞ、これから1週間の体験学習だ。頑張るぞ。

2 『シエスタ』とスペンイの文化
 『シエスタ』は、人生を楽しむスペイン人の生活そのものであるようだ。PM2時〜4時頃まで昼食後の休息・昼寝にたっぷり時間を使い、夜の活躍に備えるようだ。レストランは、PM8時頃からの作戦開始であり、食事をとる、酒を飲む、ショッピングを楽しむ、街をぶらつくゆったりとした空間と時間の仕組みがある。私の意見ではないが、この楽しい仕組みを是非欲しいと言っていた。歩道は街の広場として、広場は街の顔として、歩道・広場は生活を楽しむ空間として活用する。

 
3 『バル』と屋台
 日本には、屋台という男の付き合うステージとして立派な仕組みがあり、社交の場所として活用されている(この頃は、女性の殴り込みもあって一緒に酔っ払いの世界であるようだ。)。スペインには、屋内・屋外の両刀使いの『バル』という酔っ払いの社交場所として便利なものがある。朝食から夕食まで扱っているようだが、モツ煮込み(醤油を足せば日本と同じ)、鳥の空揚げ(先ほどまでモズの大群が上空を飛んでいた)で、ビールとカバ(Cavaというシャンパン)を飲み干すのが最高である。特に、歩道にテーブルとイスをセットした屋外ステージで味わう気分は爽快である。酒の肴は、歩道を通行する美人(スペインの可愛こチャン)と地中海の魚貝類をべースにしたオードブルである。

屋外のバル(セビリア)

4 街の路(街路)ぶらぶら歩きの楽しみ
 皆様がよく見かける夜の蝶は、夜の姿と昼の景色にギャップがあるのではと、世間の人が言っているようだ。街の中にいっぱいの飾り付け(広告物、案内板)は、くどい・賑やかすぎるのである。自然な素振りと飾らない服装は爽やか美人の条件、自然に調和したデザインと過剰な飾り付けのない景色は、美しい街づくりの条件ではないかな。素材そのものを生かした料理、材料そのもので勝負するあっさり味の『おでん屋』的感覚が必要ではないかな。


夜の散策(セビリア)
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